台風被害、火災保険「おりない」ってホント?知っておきたい落とし穴とチェックポイント
毎年、夏から秋にかけて心配になるのが台風ですね。もし自宅が台風の被害に遭ってしまったら、修理費用はいくらかかるんだろう…と不安に感じる方も多いでしょう。そんな時、頼りになるのが火災保険。火事の時だけでなく、実は台風による被害も多くの場合カバーしてくれます。
ところが、「火災保険を申請したのに、なぜか保険金がおりなかった…」という声を聞くことも少なくありません。一体なぜなのでしょうか?
今回は、台風による被害で火災保険が適用されない主な理由と、そうならないために今すぐ確認すべきポイントを、わかりやすく解説します。これであなたも火災保険の「落とし穴」を回避し、いざという時にしっかり備えられますよ!
1. まず確認!火災保険は「風災」で台風被害をカバーする
火災保険は、その名の通り「火災」をメインに補償しますが、ほとんどの契約で「風災(ふうさい)」「雹災(ひょうさい)」「雪災(せっさい)」がセットになっています。台風による強風で受けた被害は、この「風災」として補償の対象となることが一般的です。
具体的には、こんな被害が風災として補償される可能性があります。
強風で屋根の瓦が飛んだり、ズレたりした
飛来物(物が飛んできた)により窓ガラスが割れた
強風で雨樋(あまどい)が壊れた、外壁が剥がれた
台風の風でカーポートや物置が破損した
強風で建物が破損し、その破損箇所から雨が吹き込んで雨漏りした
ただし、注意が必要なのは「水災(すいさい)」です。これは、台風による高潮や洪水、土砂崩れなどで家が浸水するような被害を指します。水災は、火災保険の基本補償には含まれていないことが多く、別途オプションで加入していないと補償されません。ご自身の保険に水災補償が付いているか、ぜひ確認してみてください。
2. 「火災保険、おりない」とガッカリしないために!5つの理由と対策
それでは、なぜ台風被害で火災保険がおりないことがあるのでしょうか。主な理由とその対策を見ていきましょう。
理由1:契約内容に「風災」が含まれていない、または条件がある
火災保険の補償内容は、契約によって千差万別です。古い契約や、保険料を抑えるためにシンプルなプランを選んだ場合など、風災補償自体が付いていない、または**「〇メートル以上の風速でないと適用されない」**といった条件が付いていることがあります。
【対策】
**保険証券をすぐに確認しましょう!**特に「風災」「風災・雹災・雪災」といった項目があるか、そしてその補償範囲や条件がどうなっているかをチェックしてください。もし分からなければ、保険会社や保険代理店に問い合わせるのが一番確実です。
理由2:損害額が「免責金額」を下回っている
**免責金額(めんせききんがく)**とは、保険金を請求する際に、契約者が自分で負担する金額のことです。例えば、免責金額が20万円と設定されている場合、修理費用が15万円だと、全額自己負担となり保険金はおりません。修理費用が30万円であれば、免責金額の20万円を差し引いた10万円が保険金として支払われる、という仕組みです。
【対策】
**ご自身の契約の免責金額を把握しておくことが重要です。**小さな被害であれば、自己負担となる可能性があることを理解しておきましょう。免責金額は、保険料にも影響します。もし、今後保険を見直す際は、免責金額と保険料のバランスも考えてみましょう。
理由3:被害の原因が「経年劣化」と判断された
火災保険は、「予期せぬ事故」によって生じた損害を補償するものです。そのため、時間が経つことによる建物の「経年劣化(老朽化)」が原因とされる損害は、補償の対象外となります。
例えば、「もともと古くなって浮いていた瓦が、今回の台風でたまたま落ちただけ」と判断されてしまうと、保険金はおりません。風で雨漏りした場合でも、台風による直接的な破損ではなく、以前からの建物の隙間や劣化が原因だと判断されることがあります。
【対策】
**日頃から建物の定期的なメンテナンスを心がけましょう。**特に屋根や外壁、雨樋などは風雨にさらされやすく、劣化しやすい部分です。もし被害が起きてしまったら、**専門の業者に、台風による被害であることを明確にしてもらうための調査と見積もりを依頼しましょう。**修理前の被害状況を、写真や動画でしっかり記録しておくことも非常に大切です。
理由4:損害発生から保険金請求までの期間が過ぎてしまった
火災保険の保険金請求には、「事故発生の翌日から3年以内」という時効が定められています。この期間を過ぎてしまうと、原則として保険金を請求する権利がなくなってしまいます。
「去年の台風で屋根が少し壊れたけど、大したことないと思って放置していたら、実は被害が大きくなっていた…」という場合でも、3年を過ぎると保険金はおりません。
【対策】
**台風などで被害に気づいたら、どんなに小さなことでも、できるだけ早く保険会社や保険代理店に連絡しましょう。**まずは被害があったことを伝え、指示を仰ぐのがベストです。詳しい調査や書類の準備は後からでも大丈夫です。
理由5:被害が火災保険の対象となる「建物」や「家財」に含まれないものだった
火災保険の対象は、契約時に「建物」と「家財」のどちらか、または両方を選択します。例えば、建物のみを契約している場合、家の中の家具や家電が台風被害で壊れても補償されません。また、敷地内のフェンスやカーポート、物置なども「建物」に含めるかどうかは契約によって異なります。
【対策】
ご自身の火災保険契約が「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財両方」のどれになっているか確認しましょう。また、敷地内の付属物(カーポート、物置、フェンスなど)が「建物」の補償対象に含まれているかどうかもチェックしておくと安心です。
3. 知っておきたい!「台風 火災保険 おりない」に関するその他の疑問
台風で雨漏りしたら火災保険はおりる?
**はい、基本的にはおります。**ただし、雨漏りの原因が「台風による強風で屋根や外壁が破損し、その破損箇所から雨が吹き込んだ」場合のみです。経年劣化による隙間からの雨漏りは対象外となることが多いので、注意が必要です。
火災保険で台風被害、いくらもらえるの?
これは被害の状況や修理費用の見積もり、そしてご自身の契約内容(保険金額や免責金額など)によって大きく異なります。保険会社が鑑定人を派遣して損害額を査定する場合もあります。
「火災保険 詐欺」に注意って聞くけど?
「無料で家を修理できる」「自己負担ゼロ」などと謳い、不必要な工事を勧めたり、経年劣化による被害を台風被害だと偽って保険金を請求させようとする悪質な業者も存在します。このような業者に乗ってしまうと、**保険会社から契約解除されたり、最悪の場合、詐欺罪に問われる可能性もあります。**修理が必要な場合は、必ず複数の信頼できる業者から見積もりを取り、保険会社や代理店に相談しながら進めましょう。
まとめ:台風に備えるなら、まず「保険証券」をチェック!
台風被害で火災保険が「おりない」という事態を避けるためには、ご自身の火災保険の契約内容を正しく理解しておくことが最も重要です。
この機会に、ぜひご自宅の保険証券を引っ張り出して、以下の点をチェックしてみてください。
風災補償は付いているか?
水災補償は付いているか?(必要な場合)
免責金額はいくらか?
補償の対象は「建物」と「家財」のどちらか、または両方か?
敷地内の付属物(カーポート、フェンスなど)は補償対象か?
もし不明な点があれば、すぐに保険会社や代理店に問い合わせてみましょう。事前の確認こそが、いざという時の最大の備えになります。
これで、今年の台風シーズンも安心して過ごせますように!